面積汎関数の停留条件もしくは等張力曲面の釣り合い式

面積汎関数の停留条件と、等張力曲面の釣り合い式の導出は、本質的に同一です。
基本的な方針は仮想仕事の原理から$\delta\boldsymbol{u}$を一番外側に括りだし、これを外すというものです。
このような操作により、一般的に表現されていた問題が、設定されたパラメータにより陽に表示され、て計算や数値計算で扱いやすい形式へと書き換えられます。
$\delta\boldsymbol{u}$を括りだす共通の手続きは部分積分で与えられます。等張力局面の仮想仕事の原理に部分積分を適用すると

(1)
\begin{align} \delta w=\int_a{\boldsymbol{I}:\delta\boldsymbol{u}\otimes \nabla da}= -\int_a{\left(\boldsymbol{I}\cdot \nabla\right)\cdot\delta\boldsymbol{u}da}+\int_l{\left(\boldsymbol{I}\cdot\boldsymbol{n}\right)\cdot\delta\boldsymbol{u}dl} \end{align}

となります。ここで

(2)
\begin{align} \boldsymbol{I}\cdot\nabla\equiv\mathrm{div}\boldsymbol{I}\equiv \frac{\partial \boldsymbol{I}}{\partial \theta^i}\cdot\boldsymbol{g}^i \end{align}

です。単位行列が発散をもつのは奇妙に見えます。しかし、曲面上の単位テンソルは曲面上の接平面表します。接平面は曲面の曲率に従って様々に向きを変えますから単位テンソルは発散を持つのです。
2階のテンソルの発散はベクトルとなります。
つまり、3次元ユークリッド空間では

(3)
\begin{align} \mathrm{div}\left(\boldsymbol{g}_1\otimes\boldsymbol{g}^1+\boldsymbol{g}_2\otimes\boldsymbol{g}^2+\boldsymbol{g}_3\otimes\boldsymbol{g}^3\right)=0, \end{align}

であるが、一方で3次元ユークリッド空間に埋め込まれた曲面上では

(4)
\begin{align} \mathrm{div}\left(\boldsymbol{g}_1\otimes\boldsymbol{g}^1+\boldsymbol{g}_2\otimes\boldsymbol{g}^2\right)\neq 0. \end{align}

であるということです。
(1)式を内部仮想仕事と解釈し、曲面に作用する力や境界に作用する力と釣り合っていると考えると、

(5)
\begin{align} \delta W_i=\delta W_e\Leftrightarrow -\int_a{\left(\boldsymbol{I}\cdot \nabla\right)\cdot\delta\boldsymbol{u}da}+\int_l{\left(\boldsymbol{I}\cdot\boldsymbol{n}\right)\cdot\delta\boldsymbol{u}dl} = \int_a{\boldsymbol{f_s}\cdot\delta\boldsymbol{u}da}+\int_l{\boldsymbol{f}_e\cdot\delta\boldsymbol{u}dl} \end{align}

境界のみ仮想変位を与えたり、曲面のみ仮想変位を与えたりできますから、$\delta\boldsymbol{u}$が外れて、(このことを短く$\delta\boldsymbol{u}$の任意性より、と書きます)

(6)
\begin{align} -\left(\boldsymbol{I}\cdot \nabla\right)=\boldsymbol{f}_s\Leftrightarrow\left(\boldsymbol{I}\cdot \nabla\right)+\boldsymbol{f}_s=\vec{\boldsymbol{0}} \end{align}
(7)
\begin{align} \left(\boldsymbol{I}\cdot \boldsymbol{n}\right)=\boldsymbol{f}_e \end{align}

これらは等張力曲面の膜応力と物体力の力の釣り合い式、境界における応力と境界力の適合条件です。右辺は外力を表しますが、それぞれ単位面積当たりの物体力、単位長さ当たりの境界力を現します。もちろん、$\boldsymbol{\sigma}=\tilde{\sigma}\boldsymbol{I}$としたときは

(8)
\begin{align} \tilde{\sigma}\left(\boldsymbol{I}\cdot \nabla\right)+\boldsymbol{f}_s=\vec{\boldsymbol{0}} \end{align}
(9)
\begin{align} \tilde{\sigma}\left(\boldsymbol{I}\cdot \boldsymbol{n}\right)=\boldsymbol{f}_e \end{align}

となります。
さて、境界を完全に固定したとしましょう。すると(1)式第二項は消去することができます。

(10)
\begin{align} \delta w=-\int_a{\mathrm{div}\boldsymbol{I}\cdot\delta\boldsymbol{u}da}. \end{align}

負号が付与されているのは、膜応力が(引っ張りの時)面積が小さくなるときに仕事をするためです。
このようにして、境界を固定された曲面について

(11)
\begin{align} \delta w=0\leftrightarrow \delta a=0\leftrightarrow\mathrm{div}\boldsymbol{I}=\vec{0} \end{align}

が得られます。これは面積汎関数の停留条件、もしくは等張力曲面の自己釣り合い条件です。
これは、等張力曲面と極小曲面が本質的に同一で、そのような曲面は具体的には平均曲率が至る所0であるような曲面であることを表しています。次節では、$\mathrm{div}\boldsymbol{I}$が平均曲率ベクトルを表していることの証明を行います。